2018年10月14日

猫女房と小宮さん

コント赤信号の小宮さんとの出会いは、テアトル・エコーの公演『お手を拝借!』でした。ラサール石井さんの作・演出で小宮さんが客演、2009年のことです。お二人とも養成所の大先輩でもあり、撮影の時は緊張しました。

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それから3年経った2012年の春、突然連絡があり、そこから小宮さん主催のお芝居をお手伝いするようになりました。ひとり芝居シリーズの三本目『先代』のチラシ制作です。ほかのデザイナーが今までやっていたチラシも良かったですし、自分がやった『お手を拝借!』の時も良い悪いは言われなかったので、なぜ声をかけてくれたのか不思議でした。が、とにかく嬉しかったです。チラシは10月の中旬に出来上がりました。

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「良かったね…うちの奥さんもチラシいいって言ってたよ」
「似顔絵が今までにない感じでいいって」「猫もいいって…」
「…あっはぁ…」奥さん…
良いと言われるのは嬉しいんですが…突然奥さんの事を言われたので…なんて答えたらいいのかわかりませんでした。仲がいいんだな くらいに思っていました。

2013年になって、ひとり芝居の三本立てをやることになりました。

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それで自分がやってない過去の二本(『接見』『線路は続くよどこまでも』)の舞台写真もパンフのために選ぶことになったんです。代表作の『線路は続くよどこまでも』の舞台写真を一緒に選んでいた時の事です。大量の写真がおさめられたファイルをめくると、誰かが以前に選んだらしく、良い写真にセレクトした三つのマークが付いています。丸、三角、二重丸。一つは小宮さん、もうひとつはカメラマン…
「小宮さん、この二重丸は誰のマークですか?」
「あっ、女房の」「女房がけっこういいの選んでるんだよねぇ」「……」
結局、選んだ写真はすべて二重丸のものになりました。本当に良い写真ばかりでした。この時の「女房の」という小宮さんの言葉が、なにか遠い感じがして、もしかしたらと感じました。

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最近小宮さんの出された本『猫女房』を読んで、奥さんが亡くなられたのは2012年の10月末ということがわかりました。まだ42歳、長い闘病生活だったようです。2012年の10月末といえば、『先代』のチラシが出来たすぐ後です。『先代』の舞台は観られませんでした。具合の悪い事は誰にも言わないでほしいと奥さんに言われていたそうですが、一番大変な時に会っていながら悼みを感じとれないマヌケでした。
本はとてもとても愛情溢れる本。近くにいる大切な人が病になった時に読んでほしい本です。奥さんとはお会いした事はないけど、『先代』のチラシで、座布団横取りしちゃってる猫を出すアイデアは、猫が大好きだった奥さんが贈ってくれたのかもしれないな、と思っています。

最後のは2015年のチラシです。奥さんが大好きだった『線路は続くよどこまでも』のチラシも見てほしかったです。
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posted by gutter at 22:45| Comment(0) | 日記