2018年07月23日

シェリーさんと四半世紀

猛暑中お見舞い申し上げます。39度ですって。体温計も壊れそう。昔、事務所に勤めていたアサノタダノブが大好きな I サキさんがとにかく寒いのが苦手で、「北海道のアサノタダノブより沖縄のワダベン」とか訳の分からない事言ってましたが、彼女も今年は北海道を受け入れてることでしょう。こちとら幸いなことにヒマなので、頭も体もボーっとしつつアイスしております。普段はピノ6個続けては多いなと思って4個くらいから逡巡しますが、今日はアッという間。二箱いけそう…暑い中、仕事も少しはやってます。
いまとりかかっているのは「三茶de大道芸」。三軒茶屋で10月に開催される大道芸イベントの、チラシやリーフレット、看板などの制作です。メインビジュアルはイラストで、イングランドの田舎にお住まいのイラストレーター、ジョン・シェリーさんに毎年お願いしています。現在の進行状況は、色付けした最終ラフの段階。最初の鉛筆ラフも、最終的な入稿データも全てイギリスからメールでもらいます。便利な世の中になりました。地球上どこのイラストレーターとも仕事ができるわけです。素晴らしい…。と言ってもシェリーさんは長く日本にいらしたので、日本語ペラペラ書くのもへっちゃら、こっちが英語ゼロでも大丈夫。シェリーさんの日本語力に頼りっぱなしです。…まぁイギリスに帰られて数年になるので、だんだん日本語があいまいになってきてて、“こんいちは”になってたりはしますが、そんなメールを読むのも楽しいです。
シェリーさんとはもう25年のおつきあい。一番最初はまだ駆け出しの頃「TOKYO演劇フェア」という演劇イベントのポスタ−でした。それからちょこちょこあって、「三茶de大道芸」がレギュラーになり、大道芸だけでも18年になります。イラストレーターさんの中で一番古くて長くコンスタントにお願いしています。

「TOKYO演劇フェア」のパンフと何年か前の「三茶de大道芸」のポスター
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シェリーさんには広告やシンボルキャラクターなどで使う、キャッチーで線の強いタッチ(上)と、主に絵本で使う、ペンと水彩で描いた繊細でストーリー性のあるタッチ(下)があります。どちらも素敵なんですが、ペン画が特に素晴らしい。

例えば、あなたの知らないアンデルセン「人魚姫」評論社より
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普段のシェリーさんのお仕事はこっちが多いです。最近描かれたシェイクスピアの本もとても良いです。ぜひ、ホームページをご覧ください。
https://www.jshelley.com/

ペン画のタッチはテアトル・エコーのチラシで2回お願いしています。
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シェリーさんによるとイングランドは日本ほど暑くはないものの雨が降らなくて深刻な状況になっているようです。イングランドといえば雨。雨のロンドンですよ。なんだか北半球がおかしくなっているような気がして心配です。北半球に適度な雨を!ついでにちょっと日照りなうちの事務所にも雨を!大道芸の日には降らないで!ゼッタイ。
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2017年10月11日

デザインは資料を集めるところから…という言い訳

事務所にはアイデアを考えたりやデザインの参考にしたりする資料が色々あります。一番多いのが演劇チラシのお仕事のための作品資料。翻訳劇の場合で言うと、映画化されている作品はそのDVDや映画パンフ。また、同じ演目のよその劇団のパンフなんかも集められるだけ集めます。バックヤード資料が載っていれば参考になりますし、優れたデザインのものは、なんとか負けないように…。まぁなにかと心配症なんです。
『喝采』の映画パンフとDVD。
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こないだの加藤健一事務所公演の資料として手に入れました。『喝采』はもともと舞台。それをグレース・ケリーとビング・クロスビー主演で、設定を舞台版の俳優ではなくミュージカル歌手にしています。なので若干違いますが、台本読むより映画観た方が頭に入ってきます。なにしろ台本の初っぱなにある舞台装置説明のト書きが大の苦手。舞台装置をイメージしながら台本読める人を尊敬します。
作品関係以外でも、参考になりそうなものを本屋さんなんかで見つけると、いつか使える?きっと使える!いま買わないと無くなっちゃう…と勝手に考え、ついつい手が伸びちゃいます。
ロシアのコスチューム
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1830年〜1850年のわずか20年間。この狭き時代の本誰が買うんでしょうか。調べるとツルゲーネフ、ドストエフスキーやトルストイのが出てきた時代、ロシアがパリから吹いてくるファッション風を吸い込み伝統を吐き出しながら高揚していく時代なんでしょうかね。山高帽子に広がったスカート。オシリがまあるく出っぱったバッスルスタイルが流行る前ですね。ロシアのこの時代のお芝居をやる場合には参考になりそうなんですが…はたして
ベル・エポックの百貨店カタログ
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1900年パリ万博あたり。ベル・エポックとは良き時代という意味らしく、まさに一番パリが繁栄した時代です。この本は買いです。普通に売ってますし内容の充実さが半端ない。無名塾の「おれたちは天使じゃない」公演の時に、出演者のM浦さんが見つけてきたのが稽古場にあり、欲しくなり金魚のフン買いしました。
それから最近のめっけもんがヨーロッパ家具の歴史
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たまに小道具屋さんに行くことがあるんですが、そこでいつもわからないのが西洋家具。どの国のどの時代のものなのかサッパリわからない。ヌーボーとデコはわかりますがそれ以外はまったくわからない。たとえば17世紀のフランスと19世紀のイギリス、どう違っててなに選んだらいいのか?。おそらく家具や調度が違っているはずなのに何を選んでいいのかチンプンカンプンです。小道具屋さんにはざっくり漠然と置いてあるだけ。それがこの本、時代区分も分類もされているし、家具イラストが154枚のペラ。う〜ん、これはいい。ただ舞台美術家でもアンティーク家具屋でもない自分が必要かどうか…まぁ古典な作品のパンフなんかのカットイラストにも使えるし…こうして資料はどんどん増えていきます。
それから、いままで買ったものの中で一番重宝してるのがコレ。
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デザイン本で有名なDOVERの合冊デジタル版。CDROM15枚10万点の画像が入ってます。探すのが大変なんですけど、デザイナーの必需品です。
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2017年09月01日

アートなのにFBにブロックされる

九品仏で降りてすぐ左手に間口一間の小さな古本屋があります。目の前の浄真寺はご老人たちの絶好のスケッチ場所となっていて、晴れた日には広い境内のあちこちにイーゼルが見え隠れします。そんな日は古本屋の店先にスケッチ集や絵画の手ほどき本が当たり前のようにズラッと並ぶのです。やさ男風のイケメン店主は一見引き蘢りに見えますがけっこうぬけめないんです。
「またぁ…じいさんばあさん引っ掛けようとしてるな〜」
「いやいやいや…」
時間に余裕がある時は、汚部屋一歩手前の混沌とした店内をひやかし、店主と取り留めない話をします。持ち込みもけっこうあり、先日も近所のおばあさんの持ち込みに遭遇しました。紙袋にいっぱい古本入れて持ってきてましたが、こりゃ売れないだろうというものばかり。どうするのかなと思っていたら、最近はねぇ〜とかなんとか言って謝りながら小銭を何枚か渡してます。
「赤字じゃないの?」「市場に持っていけばいくらかは…」
やさ男はやさしい男でもあるけど、地元に愛されて楽しそうな感じです…大儲けはできないかな。
本はけっこう入れ替わっていて、月一くらいにのぞくと面白いものがあったりします。
「何か面白いものある?」聞くと、こちらの好みや仕事をわかっているから、ガサゴソしながら「イッピー ガール イッピーがありますよ。」と一冊取り出しました。名前は全く知らなかったけど…
ん…表紙の写真は見た事があるぞ…
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「鰐淵晴子さんじゃない?」「誰だかはわからないけど…昔は入るとすぐ売れて高かったんですよ」
パラパラパラ
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写真集の価値はファーストコンタクトで決まると言っても過言ではない。…いい…すんごくいい。どこがファーストコンタクトかわからないけど…いい。奥付を見る。昭和45年、1970年。なんといまから47年前。これを今やれるのか?さらに印刷でも挑戦しています。何枚ものトレペにヌード画像を刷って重なった効果を計算している。
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またまた各章のテーマが秀逸。鰐淵さんのヌード写真集かと思ったら全く違う、これぞアート。やりたいことを一番きれいな人をモデルにしてやりつくしてます。大切なのはテーマとメッセージ、それからセンスと技術。やられました。撮影はタッド・若松さん。
「買うわ」「そうですかぁ」店主はいつものひやかしかと思ってたら というような顔をしてる。ちょっと値切って連れて帰りました。
じっくり見る、スゴイ。おそらくちゃんとしたデザイナーやアーチストはとっくに知っていている本なんでしょう。でも、いいものはいつ知ろうといい。得意げにFBにアップしたら、いいね!がひとつもつかない。よくないの?でもオレはいい!と開きなおってふんぞり返ってたら、どうもFBにヌード画像扱いでブロックされてたらしい。アートなんだよ。わかっちゃないなぁ。
タグ:鰐淵治子
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2017年07月27日

邦画傑作ポスター10枚

デザインの良い昔の邦画のポスターを気まぐれに集めていまして、その中からお気に入りを10作品ご紹介します。もともとは仲代さんが出演されたポスターを集めていたんですが、映画ポスターの展覧会を観に行ったり、資料で買ったポスターカタログを眺めているうちに、手が出る範囲の本物が欲しくなり広がりました。で、デザインがいい、手が出る価格のほしいポスターをヤフオクなんかで集めています。ヤフオクといってもプロがけっこう入っていて、専門古書店の出しているものはベラボウなんですが、そこでグッと我慢してると、同じ作品の個人出品があることがたまにありまして…そこに手が出ます…トリバゴ状態です。選ぶ映画は小さい映画会社ものが多いかな。大手映画会社のポスターは主役バーン文字ドーンというのが主流ですが、例えばATG映画のようなアヴァンギャルドな映画はお金がない分、絵作りがやり放題でいい。また大手の映画のポスターでも、主に流通するポスター以外に違うパターンを作ることがあり、その中にお宝があり……手が出ます。
その最たるものが『シェルブールの雨傘』
天才、上村一夫です、あの同棲時代の。しかも横。よくこの企画が通ったなぁと思います。大拍手。
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ATG作品からは、露出オーバーの画像が極めて前衛的だった吉田喜重の『煉獄エロイカ』と『エロス+虐殺』。檜垣紀六氏の作品です。檜垣氏は『用心棒』や『時計じかけのオレンジ』、また『ルパン三世 カリオストロの城』も手がけてらっしゃる大先輩。インパクトのあるステキな手書き文字を書かれる方で、いつもお手本にしています。
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続いて大島渚監督の『儀式』と実相寺監督の『無常』攻めてます。『無常』のポスターは最近手に入れたんですがすばらしい。スミとグレーの2色刷り。こういうのをやりたいです。誤解なきよう…バランスの話。
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邦画ポスターには同じ映画でもフィルムに近い写真バージョンと絵のバージョンのものがあることがありますが、断然絵のほうが面白いです。小笠原正勝氏デザインの『股旅』も煉獄〜なみに上に小さく文字まとめてて…お洒落。それと小林正樹監督の『化石』。この絵はパンフレットにも使用されています。絵画として素晴らしいですね。
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ほんでもって、やっぱり邦画ポスターといえばなんといっても野口久光さん。『肉体の悪魔』と『旅情』です。『旅情』は原画を野口久光展で見ましたが、原画がポスターと同じB2原寸で描いてありました。考えてみれば同じサイズで描くのが出来上がりが想像しやすい。原点を見ました。
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最後に仲代さんの作品から『他人の顔』。文字、構図、インパクト、凄いですね。空間を空けるデザインより、こういうパツパツの盛りだくさんの方が実は難しいと思っています。
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2017年04月28日

ダイタイタイトルで決まる

ロゴとタイトルっておんなじように思われがちですが、取り組み方が違います。ロゴは広い解釈を持たせ、汎用性を常に考えなくてはいけませんが、タイトルは、例えばお芝居のチラシのタイトルを作る場合なんかは、中身と直結するモノが理想です。つまり内容をよく理解してから取り組まなくてはなりません。チラシを作る時には、まだ稽古が始まっていないので中身の理解といっても想像しかできませんが…
タイトルを作る仕事の流れは、ほとんどの場合台本を読んでチラシのメインビジュアルの方向を決めてからとりかかります。(例外で商業系の演劇の場合は宣伝が先行して動くので、メインビジュアルがきまる前にタイトルだけ先に作ります。)そして、決めたメインビジュアルに入れるタイトルはとても重要。タイトルデザインが良くないとどんなにビジュアルが素敵でも台無しです。
ところで台無しの台って何が乗る台なんでしょうか? 突然こういうことって気になりますね…台が無いって面白い言葉です。「校長先生の挨拶、今日台無しかよっ」と言っても校長が地面で喋るってことじゃないですし…台が無いというのと、台無しって意味が違うし…それました…だいぶん…調べました。仏像が乗る台座のことですって。台座大事なんですねぇ。
タイトルに戻ります。メインビジュアルを考えながら入れる場所をふまえ、まず手で描きます。それをスキャンしてトレースして直していく場合が多いです。出来上がったらメインビジュアルと合わせるわけですが、行けそうと思って書いても全然違ってることも多く、いけると信じた自分に幻滅しながら何回もやり直します。もちろんパソコンや巷には大量の書体があります。ですが、やり直しを繰り返し試行錯誤して作った文字には敵わないと勝手に思っています。
最近の仕事から
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これは書体じゃないの?って感じですが、実は既成の書体を参考に一から書いています。
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他人の目と洗い屋稼業は既成の書体を下に敷いて、上からなぞりました。以前そんなのを見たことがありやってみたかったのと、連続公演なので同じ書体で二公演の繋がりを出したかったのであえて同じ表現に。
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請願は迷ったあげく、フリーハンドで書いて下のクシャクシャを足しました。
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商業演劇系のタイトル。他のタイトルと取り組み方は同じですが、先行してタイトルだけ出るので単体で絵になり、お芝居のシンボルになるように考えています。
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大体タイトルが決まればチラシは80%完成です。…じゃないかな?
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2016年11月01日

文字の魅力に怖れおののく

テアトル・エコーの沖洵一郎さんを中心としたチームの公演『幽霊やしき』のチラシを作りました。そのチラシの打ち合わせの時のこと。このチームのチラシにはいつも同じイラストレーターに頼んでいます。今回も当然イラストのつもりでそのイラストレーターにスケジュール確認して待ってました。打合せが始まると企画したT子さんがすまなそうに言うんです。
「今回イラストじゃなくしたいんです」
「写真ですか?」
「いえ…それが…沖さんが文字でいきたいと言ってるんです」
「……文字って?…それはタイトルってことですか」
「いえ…中身というか内容というか…」
「…キャッチコピーですか」
「そうですそうです…キャッチコピーをドーンと」
「……例えば…どんな言葉なんですかねぇ」
「もう決めちゃってて…。」
「どんな?」
え〜「この世もあの世も大好きさ」…………です。……ですって。

芝居のタイトルは『幽霊やしき』
あまりの変化球に時間が止まりました。
こ の 世 も あ の 世 も 大 好 き さ
言葉がグルグルします。

仕上がり創造図を思い描くのと、それがいいのか大丈夫なのかを飲み込むのに時間がかかりました。長い長い沈黙……そして哲学的な何かが降りてきました。いい!面白い!スケールがでかい!でかすぎる 大好きさって…敵無しだ…「いいんじゃないですかね」ほっとされた様子。

タイトルがあり、内容に近いビジュアルがあり、作家、演出家、出演者の名前があり、日程があり、場所がある。この既成概念をぶち壊す、キャッチドーン案。ビックリしましたが、こういうとらわれないアイデアを忘れてました。やられました。で、どうせなら沖さんに書いてもらいましょうよ ということになり書いていただいたのがコレ

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30〜40個書いてもらったかも。ありがとうございました。
日時も場所も出演者もな〜んも書いてない。必要なことは裏にまとめた表紙。
文字に魅力があれば怖いものなしです。沖さんの字いいですね。
出来上がったチラシは大好きな佐野繁次郎の世界に似てました。

その佐野繁次郎の作品少し、婦人画報もすごくいいですね。
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2016年01月08日

シェイクスピアポスター大集結

子供のためのシェイクスピアを製作する華のん企画さんから連絡があったのは一昨年の事。ちーとも知りませんが、有名なアメリカのデザイナーのミルコ某という人が世界中のシェイクスピアのポスターを集めた本を出版しようと考えていて、ついては日本の中では子供シェイのポスターが気に入ったので掲載したい。
そんな話でした。世界の1100枚の中に入れるわけですから嬉しい話です。
どの作品がいいんでしょう?と聞いたところ、全部送ってほしいと言われたのでデータをアメリカに送りました。それ以来すっかり忘れてたんですが、去年の秋に出来上がったという連絡を受け、暮れに本が届きました。

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ハムレットならハムレットばかりという風に各演目ごとにまとまっていてとても見やすいです。こちらの作品は1ページまるまるドーンと掲載というのはなかったんですが、2004年から2013年までの全作品を載せていただきました。日本のポスターはほとんど載っていないので嬉しいですね。
ありがたいこってす。100%ORANGEさんの絵の力ですね。
さて、今年の子供シェイは『オセロー』です。さっそく本のオセローページーをチェック。アイデア真似ないで、より良いものにしなくては…う〜んハードル上がったかも…
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2015年06月11日

Spirit of Derwin

暗中模索の中からはじまったPOP UP BOOKがやっとやっと…やっと完成しました。POP UP BOOK、飛び出す絵本風会社案内です。クライアントはヴィンテージ家具やヨーロッパのアンティーク小物を取り扱っているold maisonさん。9日から始まった展示会になんとか間に合いました。3月頭に最初の打ち合わせをしてから約3ヶ月。最後の1ヶ月は作っては直し、直しては作りのまさに手探りの状態でしたが、なんとか対岸にこぎつけました。手こぎです…最後はオールが流されて手だけだったかも…。
なんで家具屋さんの会社案内にダーウィン? そう思われる方も多いはず。 

案内状には、
いつも命をずっと見つめ、その謎を読み解こうとしたダーウィンは、自分の脚で調べ、目で見て、ひとつの結論を導いた。そんな彼の溢れる好奇心から学べることは何か? とあります。

つまり「ダーウィンの精神に学ぶ」Spirit of Derwinな展示会なのです。

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想像するのはは楽しいけど、表現し形にするのは難しく失敗の繰り返しがほとんどです。でもそこから生まれるものは想いは詰まっている。
好きなことを見つけて磨いて一緒に楽しいことをやりましょう!

今回の展示にはそんな気持ちがこめられています。

ダーウィンさんは進化論かガラパゴスの人くらいの認識しかなかったんですが、なかなかどうしてスゴイ人でした。POP UP BOOKなんですが24Pの本の中に25個くらいのPOP UPがありまして、old maisonの家具や小物とイラストの合体になってます。イラストはおおの麻里さんです。ステキな絵を描いてくれました。

写真を撮って、それに合わせてイラストを書いてもらい、組み合わせてPOP UPにするんですが写真が大変でした。POP UPって地面に対して平に置かないとおかしく見えるんです。でも普通に写真を撮ったら左下の写真のように椅子の奥の脚は奥の位置、そのままPOPUPにすると奥の脚は上にあがったようになってしまい1本足で床についてるようにしか見えません。
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だから脚をみんな床まで伸ばしました。変なんですが脚が上がっちゃってるのに比べると数倍いいんです。右の写真が完成したものです。机も奥のキャビネットもold maison商品。右の写真の左下の箱も蓋が開いて中に四つ折りが入ってます。これも大変でした。考えてみたら海外のすんごいPOPUPBOOKってイラストなんですよね。写真は難しいです…。
それから困ったのが、たたんだ時に貼ったモノがはみ出ちゃうこと。
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ガラスケースの中の家具はもっと大きくしたいとこですがこれでギリギリ…難しいです。そんなこんなを全部お見せしたいとこですがまだ見本しか出来上がってないんでここまで。
表紙は入稿データです。実際には穴が空いていてダーウィンさんの顔が見えているんです、ちゃんと中心にくるのかが心配だったんですがうまくいきました。
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タグ:old maison
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2015年01月10日

ポンチ絵

風刺漫画のことをポンチ絵というのはなんとなく知っていたが、ポンチ絵というのがイギリスの風刺漫画雑誌PUNCH(パンチ)からきていると知ったのは、無名塾公演「ホブソンズチョイス」のパンフレットをやった時のこと。

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「ホブソンズチョイス」は19世紀の終わり頃という設定なので、当時の日常の風俗がわかるイラストを入れたくて探していた所、図書館で膨大なPUNCHの合併版(10年ごとに分類)を見つけ、その中から時代の合うものを掲載した。パンフレットにあるイラストは全て風刺漫画雑誌PUNCHのものだ。
PUNCHは1841年創刊。中身は風刺漫画が満載で時の国家やヴィクトリア女王をからかったものも載っている。またPUNCHのウィキを見るとフランスの風刺新聞を見て作ろうと思ったと書いてある。つまりフランスでは少なくとも170年以上前から風刺漫画を使った新聞があった。フランスにはユーモアをもって権力と闘う土壌が他の国より根付いているのだ。もちろん日本でも昔から風刺漫画はある。岡本太郎のお父さんの岡本一平さんも風刺漫画家。新聞で言うと四コマも元々はそうだし、3ページ目くらいには風刺漫画が入っていることが多い。戦争中は天皇陛下や日本軍人はアメリカの風刺漫画の格好の的になっていた。現在も、おさまらない原発や戦争に傾きかける安倍政権を牽制する風刺漫画が日本や周辺各国の新聞や雑誌に載っている。
どうやってユーモアを持ちながら問題の確信を突き、シンボリックで求心的な絵を描けるかが風刺漫画家の勝負であり、文化なのだ。
広告を作る手法にもとても似ていて、絵を見て「あ〜ウマいな、やられた」と感じると同時に問題の本質もどこかに残っていく。そういうものでしかない。
ネットの書き込みを見ると自業自得というような意見が多いのに驚いた。ムハンマドをバカにしたらそりゃダメだという意見も多々ある。風刺漫画という表現を酷いと言う人もいる。それでムハンマドって新しい過激な宗教なのかと思ったらマホメッドのことだった。イスラム教は今回の悼ましい事件をおこして当然と考えない宗教だと信じたい。キリストだってユダヤだってのべつまくなし風刺漫画に登場している。襲撃をしかたないと賛同する日本人がいるとは…
ならば「聖☆おにいさん」の片方がマホメッドだったらどうなんだろう?
爆笑問題の政治ネタがNHKでボツになり、個人の名前を出すのは下品という人がいた。政治ネタで個人名が出てこないのは想像つかない。北朝鮮をとりあげた映画を観た人が、北朝鮮を一方的にバカにしてるようには感じなかったと言っていた。表現の自由とは受け取る側のユーモアセンスも大きい。
一歩引いて面白がるゆとりがセンスだ。
風刺やパロディが抹殺されないためにユーモアをもって今一度考えたい。
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2014年07月09日

赤信号でVOGUE

自転車で事務所へ向かう途中に踏み切りがあり、踏み切りを渡ったらすぐ信号なんですが、いつもここでなぜだか赤信号。で、信号待ちしていると左側に古本屋。手が届きそうな外のラックに気になる本が並んでるもんだから、ついまたがったままペラペラしちゃう。で、結局ここで自転車を降りちゃいます。

「いや〜欲しそうなの置いてあるなぁ〜つい降りちゃうよ」
一冊を手に取り狭い店内に入ると、奥に座っていた店主はチョーイケメン。チョーもイケメンも古くさいけどやさ男風のチョーイケメン、やさ男が一番古かったか。とにかく無名塾出身と言っても通じる正統派の二枚目。古書店界一は疑いようがないですね。
前にいた店主のご親族かと思い「前はもっと年配の人がやってましたよね?」と聞くと、全く別の本屋だそう。しかも前のちょっと前も別の本屋。古書店というのは中身だけ変わるヤドカリのような店も多いらしいのです。つまり棚など内装は残して中身の本だけ持って移動、変えるのは店の看板だけ。なので新しい店に変わったことが分かりづらいけど経費は少なくてすみます。面白いですね。
古本屋というと、もう15年以上前に亡くなった父のことを思いだします。街一番の蔵書家だったので、残された本があまりに膨大でどうにもならず、結局、数年後大部分を処分することになりました。家族の誰もが興味が薄い哲学関係の本なんかが多かったのですが、素人目にも本の状態はとても良い。なるべく活用してくれる事を考えて、そっち系が強い神保町の古本屋さんを探して頼みました。神保町の○書房。その店主は若いけど落ち着いたなかなかの好人物でした。何千冊もの量を箱いくらではなく、全册を丁寧に見て良心的な鑑定をし、本が傷つかないようにと中が動かない構造になっている特殊な三トントラックで運んでくれました。それ以来、いまも仕事で何か探しものがあるとお願いしています。
「神保町の○書房さんて知ってる?」「えっ、○介さんですか」 オッ〜いきなり名前。
暗い奥に一段高く座りパソコン画面に見入っていたイケメンの顔がちょっと明るくなりました。狭いもんです。後日神保町の店主に話をしたら知ってるも何もな感じ。踏切を渡ると青信号でも止まれになる予感がしてきました。

途中下車して買ったのはこの一冊
「VOGUE WOMAN」
王族、女神、モデル、スター、社交界といった10のテーマ別に選りすぐりの写真120点とエッセイ、解説を掲載しています。英語が読めないので文字はさっぱりですが、さすがヴォーグ、写真だけで十二分に楽しめます。
フェイ・ダナウェイもモニカ・ヴィッティもカッコいいですね。

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2012年05月17日

村田篤司さんの絵とノート展

イラストレーターの村田篤司さんが西荻窪で個展をやってます。村田さんは、リアルとイメージという二つのテイストを合わせ持った希有なイラストレーターです。卓越したデッサン力で表現する絵と子どもの落書きのような絵。こういう方ってなかなかいません。三谷幸喜さんの映画や、三丁目の夕日シリーズのポスターがリアルでそれ以外がイメージ。つまり普段のほとんどはイメージの世界のイラストレーターなんです。ですがたま〜にリアルを描きます。そのリアルも単なる写実ではなく、イメージの方からくる崩しが入ってるのでスゴく面白い。
http://www.atarum.jp/
自分が頼んだ仕事としてはテアトル・エコーの「日本人のへそ」がイメージ。無名塾の「ホブソンズ・チョイス」がリアル。どちらも素晴らしい出来映えでした。
それで個展に伺った時にオーナー交えて長々と色んな話をしたんですが、話は最初にすごくやりあった事になりました。(オレの言い分)だってこれでいこうって決めた方向から離れていっちゃうんだもん。ストリッパーを描いてもらったんですが、ラフをOKした後も次から次から絵がメールで届く。送ってくるのはすべていいんですが、打ち合わせとは違う。ドンドン離れていって終いには人間の形すらあやふやになる。よって、だんだんこっちも言い方もキツくなる。
今回改めて聞いたら、途中で模索しちゃうんだそうです。つまり1つのテーマ、1つの人物像を色んな方向、イメージで描き進めてキモを掴むのでしょうか? これじゃないんじゃないか、もっとこういう感じはどうかと悩むうちにアートの魔力のスパイラルに入っていくんでしょう。でも、え〜どうしちゃったの?って思いますよ。キツい言い方して申し訳なかったです。もう大丈夫ですけどね。
↓一度日記に載せた画像ですが、もう1回。 もめてもんだから素晴らしい絵になったのかな。
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そんな創作の模索が文章とともに50冊以上のノートにまとめられているのが今回の個展のテーマ。1つの作品のための数々の試作や資料と一緒にその時の気持ちや気になった言葉が綴られています。その膨大なノートの中から、自分の作品のあたりを見ようとペラペラしてたら、「こんちくしょう!」って書いてあるよと横から村田さん。いや〜そこだけ破って捨てましょうよ。オネガイ…。
個展は5月27日まで(月・火休み)
http://www.mizunosora.com/event103.html
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2009年09月29日

なぜ明治はお宝デザインを捨てるのか?

久しぶりというか、デザインでこれほどひどい愚行はみたことがないぞ。いくら明治製菓と明治乳業が一緒になるからって、あの名作を捨てることはないだろうに。明治乳業の方はまぁ大したロゴじゃないからいいけど、明治製菓は、あ〜もったいない。
品がありチョコレートの魅力がロゴからも感じられる素敵なロゴだったのに、変に丸っこいお客に媚びたロゴになって本当に残念!

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板チョコもこんな甘ったるいものに
(志を同じくする方のブログより拝借)
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新しいロゴの説明を見ると
[新ロゴマーク「meiji」のmは生クリームがかかりおいしそう、eは笑顔、ijiは母が子を抱えるように見えるというイメージより由来する。]とありますが、
大体ロゴにそういうものを入れ込んでいくとこんな変なモノになるんですよ。DだかHだかわからんが代理店のえらそ〜なCDが丸めこんだんでしょう?そんでもってこの企業スローガンってのが大っキライ!「明日をもっとおいしく」だぁ。これもいつからやりだしたんだろう天下りに匹敵する悪習ですわ。

亀倉雄策の傑作デザインを…あんなに愛されたロゴマークをなぜ捨てるのか?
板チョコの魅力半減どころか全減です。誰がデザインしたんだ?
「ランドーアソシエイツ」もう! ケンドーだかジュードーだかランドリだか知らんがデザイナーも、そしてキョンキョンも断って欲しかった。
ワタシはもう明治のチョコは買いませんし、
チョコレートは明治と認めません。
カワイイ、マルイ、妙ちくりんなロゴ大っキライ!

とプンプンしながら事務所のトイレに行ったら
ご教訓カレンダーの今日の一言に和まされました。

「一人豚役」─西遊記

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2009年01月06日

ジャパン・アヴァンギャルド

演劇のポスターをこよなく愛している笹目さんという人がいます。彼が主宰するポスターハリスカンパニーはその名の通り、あらゆる所にポスターを貼るのがお仕事で演劇関係者はお世話になっています。怪しげな酒場をポスターで埋め尽くし、より怪しげにしてます。ポスターのコレクションも膨大です。
そのポスターハリスが所蔵するポスターの中から極めてアヴァンギャルドな作品を厳選した個展、1960年代〜70年代のアングラ演劇の傑作ポスター展を観てきました。
天井桟敷や状況劇場、黒テントに自由劇場。アングラ演劇が過激でパワーがあり、熱かった頃はポスターもまたアヴァンギャルドでした。横尾忠則さんはじめ宇野亜喜良さんや平野甲賀さんら当時の気鋭の才気あふれるデザイナーが手掛けた作品が100点。圧倒されます。

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これらのポスタ1枚1枚がアートです。シルクで刷られてるものも沢山あるので、刷られた枚数は多くて100くらいしかないんじゃないでしょうか。
こうやって現存するものを数多く見られるのもポスターハリスのおかげです。
これらのポスターを数多く手掛けてらっしゃるデザイナーの及部さんが会場にいらしてて紹介していただき、貴重なお話を聞くことができました。
アナログ時代の不便さや手間暇かかることのの素晴らしさ。
結局デジタルは、アナログの求心力やパワーには太刀打ちできません。
それから自分もそうなんですが、今のポスターは空間やバランスを意識したものばっかりで、文字なんかは小さい方がカッコいいと考えがちです。
いうなれば削っていくデザインが主流でその方が楽なんです。
足していくデザインにはオリジナリティが必要でして、そこが難しい。
アングラ演劇ポスターの中に入っている広告を見るとわかります。
それを含めてアートになってて決してジャマになってない。
その頃は公演を応援するクライアント側もうるさくなかったんでしょう。今は演劇を助成するのに、助成側が応援してることを主張して、でかいマークを押しつけるおかしな時代です。

会場のパルコにはこれまた怪しげな若者がいっぱい来てました。黒いゴシック系、美術学校系中心のクセのあるヤツラばっかりです。
ワタクシの知っているアングラ演劇は、今回のものよりちょっと後ですが、その頃も赤テントの入り口に鶏とかぶら下がってて怪しげなムード満々でした。観客もクセのある自意識過剰なヤツラが多かったです。自意識過剰にアヴァンギャルドって芽生えるのかも…。
反抗するものがあった時代だからこそアヴァンギャルドだったと思いますが、平和な今のクセのあるヤツラにもアヴァンギャルドで突っ走って欲しいです。
自分は方向性は全く違うのですが、自分にわずかに残るアヴァンでギャルドな部分をつつきたくなりました。
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2008年12月19日

事務所の名刺もボウリングなんです

デザイナーにとって年賀状なんかも重要ですが、普段使う名刺のアイデアはもっと重要です。オシャレだったりカッコよかったりする路線がデザイン事務所の基本ですが、ワタクシの場合、はじめてお会いした人とうまく会話できたり和んだりできるツカミと考えています。
最初に作った名刺は失敗しました。名刺の中に山折り谷折りの線を入れ、折ると飛行機になるよう作ったのです。場は確かに和むんですが飛ばされてしわくちゃになる名刺を拾いに行くのがなんとも寂しいんです。トホホ
それでここ何年か使っているのがコレ

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わかりますか?ボーリングです。左がボウル、そして右側がスコアです。スコア部分はワタクシが一枚一枚鉛筆で手書きしてます。したがってすべて1枚限定オリジナルです。
例えば

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ストライク!女性には基本コレ。エライ人もさしさわりなくコレ。深読みすると何もスコアが書いてないので1ゲーム目ということがわかります。逆にこういうのもあります。

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2ゲーム目がガーターミスで0点だったため10点しか入ってません。

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こういうのは狙いがわかる人に渡しています。ガーターしたのにストライクスペアかっこいいですよね。
そして8のスプリットをスペア。7番10番をカコーン…ギュルルル〜カコーンと取ったかも知れません。スコアの読みかたがわかるオジサマにはうけます。

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エネルギッシュな方とかおとぼけな方にはコレ
ガーターミスなのに220点もいってます。
もう3ゲーム以上やってそろそろお疲れなのかしら…
なんて名刺1枚でストーリー語れます。

こんな一見楽しい名刺にも難点があります。突然えらい人に名刺を出さなきゃいけなくなった時なんかにしょぼいのしかないとあせります。よく相手待たせていい名刺をさがしていると「あるのになんでださないんだ〜」って怪訝な顔されたりします。ヒヤヒヤものです。
また真面目なタイプの美人に渡すのに、
ターキーとかパーフェクトとかすんごいのしか残ってなくて下心ありありのオヤジと思われないかと…それはないか。
とにかくこのボウリング名刺、自分も最近説明とかにちょっと飽きてきちゃってるんですが、当分コレで行きます。
面白いスコア考えるぞ!次回名刺交換する方々乞うご期待!
タグ:名刺
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2008年07月16日

昭和の装幀家たち

装幀のお仕事もちょくちょくやっているので、古本屋いくと中身もなんですが先人装幀家が手掛けた作品も大いに気になります。
中でも好きで注目してるのが同じ時代に活躍した三人の装幀家です。共通点はアナログの究極、手書き。やっぱり手書きだな、と思うんですが、なかなかどうしてこんな風には…。

まず佐野繁次郎(1900〜1987)。字がいい、色のバランスがいい、そして何よりオシャレ。今でも現役の作品としては銀座セントメリーフジヤマの買い物袋や代官山ヒルサイドテラスのケーキ屋「レンガ屋」のパッケージなんかがあり手にすることができます。佐野繁次郎描き文字は日本語も英語もどっちもステキです。
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次に青山二郎(1901〜1979)。伝説的な骨董の目利きとして知られてるんですがワタクシ壺皿に全く興味がないので専ら装幀ばっかりみます。生涯定職に就くことはなかったといわれているので装幀家のジャンルじゃないのかも。この方の作品、いいものはすごくいいのですが首をひねるおおざっぱなものもけっこうある気がします。写真は実家で捨てられそうになってた代物で親友小林秀雄の小説。カバーや帯もキレイなんですが表紙(カバーをむいた状態)が良かったのでコレ。青山二郎の場合は小紋のような地紋パターンのものも多くそこが面白いです。
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最後に花森安治(1911〜1978)。花森安治といえば暮らしの手帖。スタイルも変わってておかっぱ頭やスカート姿。しかし実に芯の強い、しかも愛情あふれた文字やデザインで大好きです。
子供のころは暮らしの手帖が家にあっても、なんだか古くさい雑誌だな、くらいにしか思ってなかったのですが今はどうやったらこんな風にできるのかお手本にしてます。結局パロディにしかならないのですが…。ワタクシのみならず暮らしの手帖風雑誌の多いこと多いこと。
暮らしの手帖って広告が全くなく、商品テストの企画が多いんです。簡単に言うとあくまでも消費者の味方で生産者をいつも厳しい目で見ている。その姿勢が素晴らしくデザインと共にいつまでも続いて欲しいのです。(最近デザインは流行り風になってちょっとヤなんですけどね)
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タグ:佐野繁次郎
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2008年05月27日

シンベリンは100%ORANGEさんに描いていただいてます

事務所でやってる演劇の仕事に「子供のためのシェイクスピアカンパニー」というのがあります。…この団体名って…なが、長すぎる。しかも省略表記とかもないんです。よくKSCとか言ったりするじゃないですか、そんなの一切なし。がっさいなしです。一部ファンには「子供シェイ」と呼ばれているらしいですがね。そして子供のためと銘打っておきながら子供のための児童劇ではなくお客さまはほとんど大人。ややこすぃ〜。ややこすぃ〜んですが、もうそれでいっちゃてるから。いっちゃってると慣れてきちゃうし大丈夫みたいです。
まぁ簡単に言うと、難解なシェイクスピア劇を子供にもわかるように面白く演出されたお芝居です。「子供にもわかるし大人も楽しめる面白いシェイクスピア劇」なんでしょうか。ふ〜長い。
でも芝居はきわめて短く面白くなってます。そして今年は『シンベリン』
タンバリンじゃないですよ、シンベリン。あんまり知られてない作品なんですが 面白さ詰まってます。興味のある人はぜひ! 
7・12〜24 池袋あうるすぽっと http://canonkikaku.com/
そんでもって、そのシリーズのイラストをここ5年くらい100%ORANGEさんに描いていただいてます。100%ORANGEといえば新潮のYondaやPookaの表紙なんかのカワイイ絵で人気のイラストレーターさん。ワタクシも個人的に好きでピンバッジ買ったり、応募券集めてYondaカップもらったりしてます。
ハムレット     尺には尺を     リチャード三世 
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夏の夜の夢     シンベリン
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手前味噌ですが今年のシンベリンもいいですわ〜。
手前味噌ですがどれも色んな味でいいですわ〜。
手前味噌もうまけりゃいいんです!。
タイトルも書いてもらってます。じゃあ何やってるの?
ってそんなことはいいっこなし。
でも、けっこう難産でご苦労おかけしてるんです。なぜかと申しますと巷にあるお馴染みなヤツと違うタイプを頼んでるからなんです。リチャード三世も夏の夜の夢も100%ORANGEっぽくないでしょ。そのっぽくないとこがまたいいですわ〜。
『シンベリン』の会場でポスター展っぽいのやろうかと思ってるのでほとんど人まかせの手前味噌見に来てくださ〜い。
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2008年03月19日

古い紙ものもステキです

どっかいつもと違う場所に行くと、たいがい古本屋さんと庶民的な骨董屋さんはのぞきます。本の中身はもちろんですが、装丁の面白いもの、ステキなものはチェックして時には衝動買いしちゃいます。佐野繁次郎とかいいですなあ。掘り出しモンはめったにないですが…(専門外のものでもネットで値段調べちゃうからねぇ)何年か前に湯沢に行った時に入った混沌とした店の収集のつかない古道具屋のスキマで見つけたのがコレ。
ゴミのように古道具の間につっこまれてました。
8種類くらいまとめて1000円で買いました。ただの古い映画の広告チラシじゃないですよ〜。河野鷹思さんの本物です。もっとも買った時は河野さんて知らなくて、いいなこれと思って買ったのですが…そんなもんです。
今じゃ大いばり。
1930年 小津安二郎監督 田中絹代がお嬢さんかな
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もひとつ古本。実家の父親の本整理してた時、ゴミチームに入ってたのを救いました。1962,3年発行。45年前ですよ。
LETS FIND OUT ABAUT シリーズ。父はただ子供の英語教本を自分の勉強用に買っただけだと思いますが…オシャレです。
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