2012年03月24日

仲代さんの「ホブソンズ・チョイス」

24日は「ホブソンズ・チョイス」は東京公演の楽日。芝居は進化してました。北九州の初日を観て以来だったのですが、内容すべて知ってる芝居が、良くなってるのってとっても嬉しい事なんです。この進化は映画にはない芝居特有のもので、生のものでしか訪れない魅力です。楽日とは千秋楽の事です。公演最後の日ですね。楽という語源は色々あるようですが、楽という響きが湿っぽくならず、潔くていいですね。初日もそうですが、楽日も本番前に若手の出演者が各楽屋を挨拶に回ります。この衣裳をつけた回診があると舞台を共有する連帯感が一段とあがり、作品に別れ告げる覚悟が決まります。イタズラがあるのも楽日。ワインを飲むシーンがある芝居では楽日だけは本物が入っている事に気をつけねばなりません。楽といっても東京だけの事この後50ステージもの旅公演があり、7月31日の本当の楽日まで公演は続きます。
今回の演出は民藝の丹野さんです。公演中は毎日劇場にいらしてるんですが、けっして演出家然としていません。無名塾のジャンパーをはおり受付を手伝っていらっしゃいます。昨日の東京楽も声を上げてパンフレットを売ってらしたとか。バラシなんかでもナグリ持って率先してやってます。もったいない事ですが、お芝居を愛するステキな女性です。彼女がいるだけで安心で嬉しくなります。演出スタイルはあくまで明るく、そして厳しく細やかです。彼女の東京でのダメ出しをお土産にまた無名塾の面々は旅に出ることでしょう。7月31日は夏真っ盛り。半年間も続いた芝居の楽日はどんな楽なんでしょうか。やり遂げた楽しさなのか、まだまだやりたい気持ちに引きずられる中の楽しさなのか、どちらにしても117ステージを演じられる出演者は幸せもんですね。
一昨日ですが、本番前に仲代さんの楽屋にご挨拶にいきました。お元気といっても79歳。連日のステージでさすがにお疲れのようでした。舞台を観ていると全くわからないし、幕が上がってからの2時間半は別人なんでしょう。「80の割になんとかなってる?」と冗談まじりに聞かれましたが、なんのなんの割にとか年とか関係なく凄くいいですと正直にお答えしました。地方で観られる機会があったらぜひ!79歳の渾身の舞台は必見です。

ゲネプロ前の下手の袖と終演後の舞台中央
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2012年03月07日

余韻エネルギーを放つお芝居

下北で2日連続芝居を観ました。
本多のカトケン事務所とスズナリのKAKUTAです。
まず、最近話題のKAKUTAを初めて観ましたが面白かったです。パワーがあり本も芝居もちゃんとしてました。ただ何人かで話を分けて書く面白さはわからなかった。どうせ分けるなら場ごとにもっと違う色が観たいですね。主役2人の接点もどこか足りなかったように思えました。やはりひとりで書いた方が面白いのかもしれません。今回は記念公演だったので、次に期待します。
KAKUTAの芝居を見ても感じたし、何度も思うことですが、若い劇団の作品にはもっともっとビックリしたいんです。映画やテレビでは表現できないものを観たい。アングラやわけのわからないモノってことではなく、日常を取り上げていたとしてもできると思うし、そこへ向かって挑戦してほしいです。作品全体が持つ余韻エネルギーの強さなのかな。
その余韻エネルギーがカトケン事務所の「寿歌」にはありました。余韻の波がまだ続いてます。今回「シェルター」との2本立て公演で2本目が「寿歌」だったんですが、途中からなんだかジンワリきました。台詞や芝居にじゃないんです。自分でも知らないうちに内からジンワリきました。なんでしょうね。
以前小田島先生が演劇には富士山型と八ヶ岳型があり、自分は八ヶ岳型のシェイクスピアやチェーホフが好きだとおっしゃってました。どういうことかというと、富士山型はどこから見てもやっぱり富士山で、ある程度完成形が想像できるんだけど、八ヶ岳は見るたんびに形が違って見えるということです。「寿歌」は八ヶ岳。元の姿も誰も見たことがない八ヶ岳。それも、どのルートから登ればいいのか、はたして山そのものがあるのか無いのかわからない、そんなお芝居です。
「寿歌」は1月にシスのも観てます。2つの「寿歌」は全く違ってました。出演者の印象を比べると、堤さんのゲサクにはどこか哀愁があり、お芝居を通して背負っているなにかがありました。加藤さんのゲサクは明るくニュートラル。丁寧に淡々とわかりやすく進むんですが、明るい言葉が積み重なっていくのがかえって心の底に溜まって行く、そんな感じ。橋本さんのヤスオはキリストを思わせるイメージはなく人間的で優しく、小松さんのヤスオは最初からキリストが匂い、人間と交流する中で問題点を探しているように見えました。キョウコはどちらも愛すべき可愛いキョウコでしたが、占部さんのキョウコはドラマチックで強さがありました。占部さんのキョウコはスゴいです。彼女の投げ出すテンションに引きずり込まれます。何度も何度も観たいキョウコでした。
演出はどちらもほんのちょっとやりすぎな部分を感じました。ちょっとやりすぎこそが80年代なのかもしれないので、変わったのは自分なのかもしれません。そしてカトケン版を観ると、やはりシス版のプロローグはいらなかったように思いました。作家はどう感じたのかな? 
さて自分の仕事はどうだったんだろう?シス版の写真はとにかくカッコよかった。カメラマンもよく知ってる人なんですが、ハードルが高かったなぁ。色々反省点も多いですが、このお芝居に関わらせていただいて嬉しかったです。


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2012年01月18日

ホブソンズ・チョイスが出来るまで その2

無名塾のパンフは時間差で2種類作るんです。何が違うかっていうと写真が違います。最初に作るパンフには稽古場写真を入れ、後から作るパンフには実際の舞台写真が入るんです。初日前のゲネプロという本番と同じようにやる最終稽古で舞台写真を撮り、10日間くらいで差し替えます。今回の初日は北九州。舞台を観ないとレイアウトできないので行ってまいりました。
はじめての北九州。着いてすぐ、昔の仕事仲間にチラッと会いました。彼に関わることで一番興味深いのが彼のおじいさんの話。なんと山伏だったそうで、じいさんの家の茶の間には、普通にあの天狗のような衣服がハンガーで吊るされており、玄関にはカクカクした頭に載せるヤツとかワッカが付いた錫杖とかが置いてあったそうです。で、彼には10年振りにあったんですが、どうしても聞きたかったんで聞きました。
「じいさんの山伏って本業じゃないよね。兼業?」「いや」「専業?」「そうだよ」 財テクな山伏ってのはイヤですが、やってけるようです。いや〜カッコいい。お父さんの職業欄に山伏って書いてみたいですわ。
なんて横道にソレソレですが、劇場は小倉城の横にある一大商業施設の中にありました。劇場に入ると、もう19世紀のイギリスがそこにありました。装置と衣裳の力は凄いもんです。こちらはただ観るだけなのでゲネプロ、初日とじゃまにならないようにしてるだけです。公演初日というのは、始まると宣伝物は過去のモノになり、自分の居場所がなくなる寂しい瞬間なのですが、好きな光景です。楽屋が並ぶ舞台の裏通りは、お通しと呼ばれる差し入れが所狭しと並び、ボテの横で衣裳が順番に出番を待ち、楽屋は雑然としながら緊張感が充満してます。時折メイクを済ませた若いコ達があわただしくスタッフジャンパー姿で通り過ぎます。ここはオフとオンが混在している空間。いよいよとなり「15分前です」と楽屋に声がかかるとオン空気の密度が高まります。楽屋を回る初日挨拶や「よろしくお願いします」の声。まさしくよろしくお願いする、やり直しのきかないLIVEの世界。その場にいるモノしか味わえない刹那の醍醐味がここにあります。
そして初日です。ゲネプロで完成してないように見えた部分は、観客の反応を糸に笑いを針に修繕され、品がよくおしゃれで、愛情ある暖かいムードに包まれた作品に出来上がっていました。観客が舞台を育てるというのは本当です。これから公演を重ねるごとにどんどん良くなっていくことでしょう。
と、感慨にひたってると誰かがそでをひっぱります。
「あの〜ここなんですが…」パンフの誤植です。トホホ
いや〜舞台写真に差し替えて、パンフを増刷するのは、間違いを直せるチャンスでもあるんですわ。
こっちはやり直しのきく世界にいるなぁ。いかんいかん。

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靴屋の床をイメージしたバックは無名塾の稽古場の床を撮影し加工しました。
タグ:無名塾
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ホブソンズ・チョイスが出来るまで その1

無名塾公演「ホブソンズ・チョイス」が14日、北九州で幕をあけました。九州、静岡、長野、関東などを中心に7月31日までの長い旅公演のはじまりです。え〜っ。誰もが同じリアクションだろうから、あらかじめ書きました。長いです。とにかく仲代さんはじめ出演者のみなさん体調に気をつけて長丁場のりきってください。長丁場の丁場って博打の丁場のものすんごい長いのかと思ったら、宿場の間の長いことのようです。旅公演が長いのは意味的にもあってるかも…。
無名塾の次回作品が「ホブソンズ・チョイス」というお芝居になったと聞いたのは、2010年の夏くらいでしょうか。それで2010年秋から始まった「炎の人」のパンフに告知を入れました。その後、2011年になって震災があり、東京公演が中止になるという残念な事がありました。4月、原発問題がバタバタしている頃、仲代さんや無名塾の人達と打ち合わせしました。振り返りながらも先へ進むしかないのです。
打ち合わせが決まった時から資料集めにとりかかりました。「ホブソンの婿選び」というデヴィット・リーン監督の映画があることはすぐわかったので、まずアマゾンでDVDを取り寄せ、観ながらざっくりとしたイメージを考えます。19世紀末イギリスの靴屋、そして娘と父親がおこす人情喜劇。ヴィクトリア朝時代ではありますが、庶民の話なので、ヴィクトリア朝の手のこんだゴージャスなデザインではないでしょう。それで今回は靴をモチーフにクラシックな感じにしたいと考え、ノーマン・ロックウェル調なイラスト化する事にしました。ノーマン・ロックウェル自体はアメリカですし、時代的には少し後ですが、手触りのするあったかいものにしたかったのです。打ち合わせの場で、すぐ仲代さんは気に入ってくださりOK。仲代さんは決定が早く、2つの案があったら、迷わず面白い方を選ぶ、とてもセンスの良い方です。
イラストは三丁目の夕日などを手がけている村田篤司さんに頼んだんですが、まず仕上がりとほぼ同じような写真を撮影します。ノーマン・ロックウェルのイラストも撮影した写真をもとに描かれています。モデルや背景、小道具、コスチュームなど入念な準備を行った上で撮影に臨むわけです。5月末に撮影する事になりました。2012年の1月が初日なのでまだ半年以上あります。こういう本番前に撮影するチラシ用の衣裳などは、稽古も始まっていないし、演出プランもないので、ウチと演出部などで衣裳を借りたりして揃えます。俳優も協力してくれます。ヴィッキーの衣裳のコサージュ、チラシだとよくわからないんですがヴィッキー役の樋口さんの手作りなんです。
撮影の準備で困ったのがウィリーのエプロンでした。衣裳を探したんですがいいのが見つかりません。結局、学芸大の靴屋さんに頼んでお古を借りました。「このまま写真でも十分いいですね」の声に耳を塞ぎ、村田さんに託します。途中経過を確認に家に一度おじゃましたりして絵は8月後半に完成しました。

左が写真、撮影して合成しました。そして右がそれを絵におこしたモノ
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その原画を撮影、またバックに布画像を張り込んだり、細かい修正してやっとこさっとこチラシが出来上がったのは9月初旬。やはり時間をかけたモノはかかっているだけの事はあるなぁと思っております。この時点で稽古はもちろん始まってもおらず、東京公演に関して言えば半年近く前にチラシが出来てる事になります。
チラシが出来て稽古が始まると今度はパンフです。構成も考えます。デザインだけじゃなく構成を考えるのも楽しいのです。今回のパンフの中身は、前半がお芝居の内容中心。ヴィクトリア朝の豆知識や旅マップも掲載してます。そして後半が仲代さんの役者生活60周年特集。この写真選びがものすごく大変だったのですが面白かったです。映画、舞台、テレビの数百本の作品の写真の中から、今まで露出の少ないモノを選びました。前半も後半も内容がかなり充実しております。広告なしの48P。かなり満腹、かなりお得感あります。ですが、パンフはこれで終わったわけではありません。その2へ続く…。
タグ:無名塾
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2012年01月11日

「寿歌」を観て酒場で語ろう

いつ以来だろうか?久々にイメージの羅列で考えさせられるお芝居を観ました。そうかお芝居ってこうだった?こんな感じでもいいんだったなと納得した次第です
新国立の小劇場で上演中の「寿歌」。面白かったです。北村想さんが1979年に発表した作品。遠い昔に彼の劇団のTPO師★団、そして加藤健一事務所の公演で観てます。今、仕事で加藤健一事務所の同じ「寿歌」のチラシをやっていて勉強のため観てきました。登場人物は3人。旅芸人の座長ゲサクに堤真一さん、キョウコに戸田恵梨香さん、そして謎の人物ヤスオに橋本じゅんさん。昔観た時はゲサクに加藤健一さん、キョウコがうろ覚えなんですが、たぶん熊谷真実さん、ヤスオが星充さんでした。当時は刺激的で面白いけど訳がわからない、だけど感動といった印象でした。今回はその時の訳のわからない穴が、年もあるんでしょうが半分くらい埋まった感じです。埋まったそばからドンドン空いてっちゃってるのかもしれません。つじつまがはっきり見えない事、それは楽しくもあります。今回作家によりプロローグが加筆されましたが、その楽しさを奪われたような感じで、いじらない方が良かった気がします。このおもいおもいの勝手なつじつま合わせが酒場のネタになるんですから。
最近活躍している若い人の作品はどれも登場人物の線がちゃんと通っていて整ったモノばかりです。話が支離滅裂だったり、やり逃げするようなモノにあたる事はまずありません。題材やテーマは飛んでいてもちゃんと作劇されている。テレビや映画にしても大丈夫な作品が多く、逆に不満でもありました。そこへいくと、この「寿歌」はお芝居にしか成立しません。失礼ですが、イメージの思いつくまま書いちゃったら、たまたま話になっちゃったような作品。正解はどこにもなくやり方は自由、解釈も自由。自宅へ持ち帰ってからもお芝居が続く…何年か経って、ふっと頭をもたげ思いだす。あとをひきます。核戦争あとの瓦礫の中を、家財一式リアカーに載せて彷徨う旅芸人のお話なんですが、断片的で拡散していて観客は補っていかないと自分のモノにできません。この補う行為がお芝居を観る醍醐味でもあります。だからしつらえも何でも良いと言えばいいんですが、今回のしつらえは自分の好みとはちょっと違ってました。こういう正解の方向性が未知数の作品はスタッフも悩むと思います。その悩みが見え、悩みを払拭せんがためにしつらえが主張しすぎた感がありました。パンフのジャージ姿の稽古写真を見て、いっそこれでもいいな、これに着物があったらそれでいいなと思ったくらいです。補いやすくするなら、リアルな「どん底」のボロボロで煮染めたような衣裳もいいでしょうが、そうなりすぎてもつまんないし、まぁなんでもいいんでしょうね。 カトケン版はどんな衣裳にするのでしょうか、そんな事を考えるだけでも楽しみです。観終わったばかりなのに、もう違うキャスト、演出でやる「寿歌」を観たくてしょうがないです。 今回のお芝居のスタイルにカタルシスを感じず、面食らった人も多いと思いますが、良かったらカトケン版「寿歌」も観てください。別の穴が埋まったり、空いたりする戯曲の面白さを体感でき、酒場でウダウダと芝居の話をする80年代的楽しさを味わえるかもしれません。
タグ:寿歌
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2011年11月02日

チェーホフで聴く

10月末まで演っていたチェーホフの「三人姉妹」東京公演は無事終わりました。観に来ていただいた皆様ありがとうございました。公演前日に、陣中見舞いに行った時の話です。その日は「場当たり」といって、本番に近い形での最終稽古をしてました。役者さんが衣裳着けて、舞台上で本番と同じように動いて、照明や装置なんかのチェックをするんです。場面が変わるキッカケなんかは何回か止めて確認しながら進めます。やはり稽古場と劇場では勝手が違うので、その場で変わっていく事も多いです。もちろん音楽も入ってます。客席の明かり(客電)が落ち、客入れの曲がしぼんでいくとワクワクする物語のハジマリハジマリです。無音のハジマリ場合もあるし、台詞のハジマリ場合もありますが、今回の山崎演出は歌でハジマリます。そして同じ歌手の歌が四つある幕の幕間にも流れます。
その曲、その歌声に身体の奥深くを掴まれました。思わず前のめりになっちゃいました。倒されました。遠い昔に忘れてきたジグソーのピースが見つかった感じです。大当たりです。芝居も良かったですが、まず曲、曲。
二幕終わった所で休憩。楽屋へダメ出しに走る大忙しの演出家見つけて、
つい一言。
「誰ですか?」 間髪入れずに
「吉田美奈子」「吉田美奈子の、ハタチのファーストアルバム」
振向きざまにそれだけ言うと裏に消えていきました。
すっごくKYで失礼なタイミング。申し訳なかった。
でも、ちょっと嬉しそうだったかな。
彼は前回の「ワーニャ伯父さん」で高田渡を持ってきたぐらいです。このぐらいは予想できそうなもんですが、やられました。家に戻って調べるとこのアルバム全曲彼女の作詞作曲。そしてバックがスゴい。キャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫の4人)です。はっぴいえんどもキャラメル・ママもティン・パン・アレーも持ってたのに知らなかった。夢でもし〜だけの人だと思ってたよ。振り返れば高校生の時、ユーミンが来るっていうんで近所の大学の学園祭に観に行った事がありました。それがもともとはユーミンと吉田美奈子の二人のLIVEだったのが、吉田美奈子が風邪引いちゃったもんで、ユーミンのソロLIVEに…。あん時はユーミン一人になったんでみんなで喜んでましたが、子どもでした。大事なピースをそこで落としてましたわ。ハタチでこの歌、この歌詞。なんとかBとかなんとかRAとか、どうしてこんな時代になっちゃったんだろうかねぇ。間違った方向に行ってないかい。すべてのミュージシャンを目指すハタチに聴いてほしい1枚です。

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劇中に流れる歌の中で好きなのは
「ひるさがり」 人だまりの中に 石ころがころがってゆく
        何にもすることがないし 話す相手もいない
あ〜活字にするとただの暗い歌にしか見えんな。YOUTUBEにもないし…
そもそも100年以上前のロシアのチェーホフに日本の歌が合うのかって? 
合うんです。気になった人は相模原市の橋本であと1公演(11月5日14時)にあるからチェーホフと曲に倒されにきてください。

タグ:吉田美奈子
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2011年09月28日

お一人様のラティガンは面白い

たまたま観たお芝居が面白くって、その作家にはまって次々に観てしまった。6年くらい前にそんな体験をしました。それがテレンス・ラティガンです。3作品を連続上演するラティガンまつりというのをやっていたのですが、最初の作品観た時は、期待もなく人気もなくイープラスで安いチケットを買ってみました。(イープラスってそういうのがあるんでチェックしてみてください)それが思いかけずあんまり面白いもんだから次々と3本と言う事になりました。その時からラティガンは忘れられない作家になったんです。そして今年、テアトル・エコーでラティガンの代表作演るっていうことになったので嬉しかったのなんのって。

「セパレートテーブルズ」
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1人用のテーブルという意味ですが、あるホテルを舞台に集うお一人様とお一人様の内面の交流を静かに描いた佳作です、これは面白いですよ。まだ観られます。9月24日(木)〜10月2日(月)恵比寿・エコー劇場 http://www.t-echo.co.jp/
このチラシのイラストは宮部みゆき作品や若竹七海作品の装幀などで有名な杉田比呂美さん。この方に10年以上前から一度お願いしたいと思ってたんですが、やっと念願が叶いました。すごくいい方で仕事もやりやすかったです。こういう未の人って頭の片隅のどこかにあって、お一人様とお一人様が出会うように、フッと合いそうな仕事にはまるんですよねぇ。杉田さん、ありがとうございました。
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2011年07月01日

馬琴の描いたイラスト

加藤健一事務所公演「滝沢家の内乱」の仕事を通じて、馬琴さんの事を色々と勉強しました。頑固でケチで傲慢。隣の家に行くにも正装して出かける大変人。絶対つきあいたくない人物ですわ。しかしこういう人ほどとんでもないモノを書くのも事実。それがあの「里見八犬伝」。書くのに28年かかってます。1814年に刊行されて完結が1842年、全98巻、106冊の超弩級大作。書いてた時の年齢が47歳〜75歳、江戸時代なら普通お亡くなりになってます。そのお年で現役ってのもスゴいですが、さらに73歳で失明しちゃったのに完成させるのがまたスゴい。失明して(白内障らしいです。今なら治ってますね)どうやって書いたのかと言うと、口述筆記です。口でしゃべったのを横で聞いて書き写すわけですね。最後の2年間、まとめのとこですよ。頭の中で98巻に渡って撒いた種がもれなく完遂したんでしょうか?おおまかなあらすじは書いてあったんでしょうか?気になります。気になりますが全部読むパワーは…いつか…。
それで、この口述筆記を頼んだのが息子の嫁のお路(みち)。頼んだもののこの方、文章能力が極めて低かった。なんたって漢字が書けない知らない。お路の書いた本物を見たんですが、最初のはそれこそミミズがはったような字でひどいもんです。それが七ヵ月後には馬琴と変わらないレベルまで上がっていました。江戸の女もやるもんです。このお路も調べていくとけっこう逞しく打たれ強い性格。そうじゃなきゃやっていけないですよね。馬琴はお路の性格や努力をわかっていて頼んだと思いますが、他人に頼まないのはやっぱり大変人ですね。
馬琴の資料をネットとかで探している中で、面白いモノを見つけてつい買っちゃいました。「里見八犬伝」第四輯。

馬琴が書いた元本      出版された本
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馬琴さんが油がのってる頃の現物和本の復刻版です。馬琴の書いた元本と出版された本と2冊セットになっていて比較できて面白いです。これを見ると驚くべきことに、元本に絵の下絵も馬琴さんが事細かく描いてます。「ここまでやるのか」ビックリしました。しかも味があって浮世絵画家の柳川重信が書いた本物よりいいぐらいです。

馬琴が描いた元絵        出版された重信の絵
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さらに赤字で細かい指示出してます。カモメ、雲、アシ、水。この本の後半には力持ちの犬田小文吾が子供の頃に大人と相撲とった下りがあるんですが、小文吾の左足にちゃんと、タケ五尺九寸と指示出てます。細かい…しかしイメージが全て頭の中でできてるんしょうねぇ。素晴らしいです。ただ仕事がやりにくそう。上の犬塚信乃と犬飼見八が屋根の上でからんでるシーン。馬琴さんのはイラストっぽくて好きです。よく見るとお互いの髪を引っ張り合っててこどもの喧嘩みたいでユーモラス、かたや重信さんのは二人の位置を替えて躍動感あふれる構図にしてます。さすがに髪の毛引っ張り合いはしたくなかったのかな?浮世絵画家の意地ですかねぇ。バトルしてます。
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2010年12月19日

CANONで紀伊國屋演劇賞! 万歳!万歳!

いつもお仕事させていただいている、演劇制作会社の「華のん企画」さんが「紀伊國屋演劇賞 団体賞」を受賞されました。受賞理由は「チェーホフ短編集1+2」 子供のためのシェイクスピア「お気に召すまま」の優れた舞台成果に対して。とあります。

「チェーホフ短編集1+2」パンフ  「お気に召すまま」パンフ
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すっごくうれしいです。涙がちょちょぎれます。演劇ファンのほとんどが知らない企画制作会社、女性だけの小さな小さな会社。テレビで見る俳優さんが出演しているわけでもありません。なかなか満員にならないこともあります。そんな所に思いがけず光が当たりました。華のんとは、音楽のCANONからとっていて、輪唱のように続いていくの意です。静かな湖畔の〜〜です。地道に良質の舞台を作り続けてきたことが評価されたのです。うれしいじゃありませんか、1966年から続く演劇界の偉大な賞の歴史に名を残しました。演劇だけの賞でいうと、紀伊國屋演劇賞というのは最も古く、小劇場から前衛、大劇場まで網羅していて権威があります。観ているひとは見ているんですね。涙がちょちょぎれますよホント。
もともとは新大久保のグローブ座に、演出の山崎清介さんを中心にシェイクスピアを上演する「グローブ座カンパニー」というのがあったんです。それがグローブ座がダメになって行き場を失った時に、なんとかこのカンパニーを残せないものかと、「華のん企画」の代表が素人ながら個人で立ち上げ、引き継ぎ8年間上演し続けてきました。制作者としての経験がない中大変だったと思います。続けてくれば日の目を見ることもある。まさにCANONです。良かった良かった。来年はシェイクスピアの「冬物語」とチェーホフの「三人姉妹」の公演があります。
ぜひ!
タグ:華のん企画
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2010年09月23日

83歳の「日本人のへそ」

テアトル・エコーの「日本人のへそ」を観てきました。教授役の熊倉さんに圧倒されました。スゴかったです。何がスゴイってしょっぱなからのその台詞量!半端じゃない。出演者の紹介をするシーンなんですが10分くらいしゃべりっぱなし。年齢を言うと失礼ですが熊倉さん83歳ですよ。しかも演出もしてる。それで台詞がとても流暢!テンポが良くって面白くって全く問題ないです。問題って言うことじたい失礼でした!映画版では同じ教授役をなべおさみさんがやってました。その時はなべおさみさんて台詞にキレがあって気持ちいいなって思ってたんですが、熊倉さん負けてない。教授ってことならむしろ雰囲気は勝ってます。
ポスターをやるんで台本をいただいて読んだ時もあまりにもスゴイ量なんで、失礼ながら、録音なのかな?思っちゃったほどなんです。しかもその後続けてソロで歌って踊ってる。1幕終わった時に制作の人に「熊さんスゴいね」って言ったら「今日は本調子じゃないんです」って。恐るべし83歳。
「日本人のへそ」は井上ひさしさんの処女戯曲です。熊倉さんが「ひょっこりひょうたん島」でトラヒゲをやってた時に、作家の井上さんと偶然同じエレベーターに乗り合わせて「芝居を書いてみませんか」と声をかけたのがきっかけだそうです。歌があって楽しいものを頼んだそうです。それから1年半、型破りなスゴイ本があがってきました。当時あまりにも特殊な本だったため上演に反対意見もあったそうですが熊倉さんがどうしても演りたいと押して上演にこぎつけました。「日本人のへそ」というタイトルは熊倉さんの案です。高度成長期のワサワサした時代、貧困、成金、ストリッパー、やくざ、レズ、ホモ、この世界は、まさしく「日本人のへそ」。いいタイトルです。一度聞いたら忘れません。
それから41年後の再演。言葉の洪水、言葉遊びの究極、設定の猥雑さ、ムチャクチャな展開。確かに脚本も芝居も完成度は高くないかも知れませんがガムシャラなエネルギーがつまってます。最近の作家はうまく書き過ぎ、まとまりすぎ。ホントちゃ〜んとしていてテレビや映画にすぐなるようなのばっかり。井上作品は演劇だけの世界です。「日本人のへそ」は映画化されてるって言っても、ほとんどお芝居をカメラでとってるだけですからね。若い作家には演劇の自由さ、演劇の宇宙のひろがりをもっともっと言葉で表現してほしいです。

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ポスターのイラストは村田篤司に描いていただきました。村田さんは「AIWAYS三丁目の夕日」のポスターなども描かれていてリアルなものも得意な方ですが、こういうラフなタッチも素敵です。熊倉さんのイラストはチラシに使用したものです。「日本人のへそ」は10月4日まで。チケットは完売ですが、毎回抽選で数枚当日券が出るようです。熊倉さんのへそ!ぜひ!
タグ:村田篤司
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2010年07月13日

つかこうへいさんが好きでした。

つかさんの本の中のお話なんですが、お葬式で「友よ」とだけ書かれた遺書が出てきて、参列者みんなが「友よ」を深読みして悩むバカバカしく面白い話があります。
つかさんの遺書は「娘に日本と韓国の間、対馬海峡あたりで散骨してもらおうと思っています。」という一文が入ったものでした。いつかこうへいになる、だからつかこうへい。韓国籍を貫いたつかさんは差別や、民族意識を強く持ってらしたのかな。ワタシが学生の頃、つか芝居に夢中になっていた時には全くわかりませんでした。パワフルで思いっきり笑えて、エンターテインメントが詰まってる芝居。衝撃的でした。唐十郎や天井桟敷のいわゆるアングラにはもうひとつ馴染めなかったんですが、つか芝居はすぐトリコになりました。前にも日記にあげましたが、はじめて観たのが「熱海殺人事件」。紀伊國屋ホールです。三浦洋一の伝兵衛、加藤健一の大山金太郎、井上加奈子がハナ子を演ってました。装置もなく衣裳もシンプル。演出にも驚かされました。舞台上から三浦伝兵衛が「犯人はお前だ!」と叫ぶやいなや、どでかいスポットを操作し、サーチライトのように客席に向けてあてたんです。それが上手通路奥よりに座ってたワタシの真ん前。突然ピカ〜っと周辺が明るくなり、「えっ、ナニナニっ…」とドギマギしていると、3列前に座っていた白いつなぎ姿のカトケン金太郎が、片手にマイク片手に真っ赤なバラを数本持ちスクッとに立ち上がりました。「ナ、ナ、ナ、ナ、…」またドギマギしていると、「マイウェイ」をすてきなバリトンで歌いながら、バラをファンに渡し渡しステージに上がっていったんです。芯からやられました。打ち抜かれました。つか芝居って今思うと浪速だし、ものすんごくクサいし、リアルとはかけ離れているんですが、その津波のように襲ってくるクサさがまたたまらなくてヤミツキになっちゃうんです。グサッっと追い打ちかける熱のあるクサい台詞で根こそぎやられちゃう。そのグサッが楽しみで観に行くんでしょうね。当時はあこがれでカリスマでした。

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このチラシは観たものとは違うかもしれないですがイラストは本の装丁も含めいつも和田誠さん。

初期代表作のひとつ「初級革命講座 飛龍伝」は高田馬場の東芸で観ました。平田満、加藤健一、井上加奈子、石丸謙二郎のキャスト、ベストです。電話ボックスのシーンの長台詞がたまらなかったです。東京乾電池に出ていた角替和枝さんが客席係をやっていたのを覚えています。小説なんかもつかさんのが出るとすぐ買ってました。好きだったのが「ジャイアンツは負けない」。野球オンチという設定のつかさん自身が主人公なんですが、ドラフトでなんとジャイアンツ1位指名、しかも監督として。ゲラゲラ笑いました。王さんが選手としてまだいて、王さんとのヤリトリなんて最高です、後半ぐちゃぐちゃで収集着かなくなるんですが、それもまたつかさんの魅力ですね。
最近のつか芝居はなんだか女優の勉強の場みたいな雰囲気がしちゃってたのと「熱海」と「飛龍伝」を超えるモノがないような気がして観に行かなかったんですが、どうだったんでしょうね。健在だったのでしょうか?
それとこうへいになったのでしょうか。かつてのつかマニアとしては日本と韓国の事を書かれたモノも読まなければいけません。つかさんのテンション高くデカい声でクサい台詞をたたみかけて最短距離で心に届く芝居が観られなくなると思うと寂しい限りです。自分が演劇のはじっこを齧ってた時代が本当に思い出になってしまいました。
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2010年05月27日

渾身の仲代ゴッホ

ネットで検索すると仲代さんのことをブログで書いている人はけっこういますが、ほとんどが名前を間違えていて達也になってます。パソコンの変換のせいだと思いますがあまりに多いのでちょっと気をつけてほしいです。僕ら世代は子供の頃から数多くの映画やテレビのクレジットで見る達矢の矢の字が強烈に刷り込まれています。黒澤、三船、仲代、永遠の銀幕のスターなのです。黒澤の澤が沢でなく澤であるように達矢は矢なのです。
はじめて無名塾のお仕事をしたのはフリーになる前です。まだまだ若造の頃、紹介してくれる方があり、無名塾のお芝居の新しいデザイナーの候補として仲代さんと宮崎さんに顔合わせすることになりました。次の舞台の演目はイプセンの「ソルネス」に決まっていました。ソルネスなんて聞いたこともありません。イプセンも「人形の家」のタイトル知ってるくらいでほとんど知りません。そんでもって会うのは大俳優と演出家。緊張するなというほうが無理です。とにかく今やれることをやろうと思い、脚本をなんとか探して読んでから行きました。当日、無名塾の広い稽古場に入ると真ん中に机が置いてあり、よく映画で観た事のあるお顔がありました。仲代さんです。スクリーンの顔が目の前にあるってなんだかおかしな気分です。
最初に話したことをいまでもよく覚えています。お二方の正面に腰掛け、ドキドキしながらジッとしてました。お二人はなんとなく不安げに見えました。しばらくすると宮崎さんが「今回のはイプセンの中でも難解なものでねぇ」と切り出されたので、間髪入れずに「読みました」と言うと、パッとビックリしたような明るい顔になり「えっどうして、どこで」と聞かれたので「図書館で探して読みました」と答えました。すると宮崎さんは笑顔でゆっくりと隣に座っていた仲代さんの方をむいて「読んでくださったんですって」と一言、仲代さんは小さく頷いてくれました。どこの馬の骨だかわからない私を受け入れてくれた瞬間です。
それから15年。まだまだ緊張しますが、まあまあ普通にしゃべれるようになりました。仲代さんは今年77歳、喜寿です。今年は秋からゴッホ、「炎の人」に挑戦されます。まだ5年くらいはやれそうにお元気ですが、大きな公演はもしかしたらこれが最後かもしれません。4月の頭に撮影。最後かもという思いでいつも以上に気合いが入ります。バックにゴッホのひまわり、手前に仲代ゴッホ。ひまわりの前の人物写真は力強くパワーのある写真にしないと仲代さんとはいえ絵に負けてしまいます。ひまわりは本物の画像を借りられたのでなおさらです。カメラマンは吉村さん。力強いザラザラした骨太な写真にしたかったのでお願いしました。衣装の麦わら帽子で悩みました。きれいすぎるとどこか不自然なのです。黒澤映画の「夢」のゴッホはきれいな普通の麦わらでしたが、なにか違うと感じていました。そこで昭和初期から手作りの麦わら帽子を作っている帽子屋さんに頼み、仲代さんの頭に合わせていくつか試作を作ってもらいました。使用したのは一番ボロボロによごしたモノです。

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今回の撮影のライティングです。ホリゾントの照り返しも生かしたいのでバック紙を逆にセットしました。なんだかもったいないようですがこれがいいんです。仲代さんが撮影中ゴッホに没入しやすいようにカメラ横に実物大のひまわりの模写を置き、メイクを終えた仲代さんがカメラの前に腰掛け、ひまわりを見据えて集中すると静かに撮影が始まります。最初はアメリカのカウボーイ親父にしか見えなくてちょっと心配だったのですが、30枚くらい撮った頃から頬がこけ、苦悩した表情になり段々ゴッホになっていきました。ライティングのいい場所をカメラマンが導いたこともありますが、ゴッホに変わっていく役者は見事、流石です。「いや〜ゴッホだよゴッホがいる」吉村さんが口走ります。目の前に確かにゴッホが座っていました。この時点ですでにポスターが成功した事がわかりました。

舞台もそうですが撮影も終わると、もとの何もなかった状態に戻ります
さびしくて、あと戻りできないむなしさが襲ってきますが好きな瞬間です。

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ゴッホは37歳で自ら命を断っています。30代のゴッホを77歳の仲代さんが演じるとどうなるのか楽しみです。観客に伝わせられれば、演じる役者の年齢や性別、人種、手法は問わない。そこが演劇がほかの芸術、映画、テレビなどとは違う面白いところでもあります。観客も歩み寄って補い合いリアリティが生まれるのです。

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2010年04月05日

猫舌ブギ 役者紹介その2

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引き続き役者紹介をば…

春馬ゆかりさん
いつも朝の番組「秘湯ロマン」で全国の温泉を紹介してらっしゃっいます。そのせいか演技にテレがなく見ていて気持ちいいです。美人でスタイルよくって優しくって教養あって、芝居や歌、ダンスの勘もよくって。舞台が夢知無恥だけとはもったいなくって…でもありがたいです。

五十嵐三南子さん
スズナリ時代からのメンバー。みなみって呼ばれています。すごい美肌で、すっぴんの時びっくりしちゃいました。色っぽさもNo.1ですね。
さらに特殊技能をお持ちで舞台の小道具のネズミ人形やグラタンなんかは彼女の作品。こっちの才能もNo.1です。

沖田愛さん
テアトル・エコーの研究生です。正直演技はあんまり期待してなかったんです。最初は人がいないんで何でも手伝ってくれる人探してまして、演出助手で呼んだんです。本人にも運がよかったら出られるかもよ〜 なんて調子こいて言ってたんです。
申し訳ありませんでした。いまワタクシめの額が地面にめり込んでます。ビックリしました。拾いモノでした。台詞を素直にしゃべる、何をやらせてもうまい。芝居をしてる時の顔がいい。もう化けてますが大化けするかも。いい女優さんです。

豊さん
開沼豊の名で作家もやられてます。が、お客をつかむ技術、才能はすごいですね。ぜひ出る方でやってほしいです。お客さんの半数以上が豊さんが一番良かったと言ってるでしょう。彼のやりやすい形で舞台に立ったら向かうところ敵なしです。

斉藤さん
斉藤さんが芸名なので正確には斉藤さんさん。ピン芸人です。たまに稽古場でネタ見せていただくのですがすんごく面白いです。シャイな人ですが、自分の持ち場は確実にもっていきます。猫舌のペスカトーレ名札だんだん大きくなったの気づきました?

まこっちゃん 
元はスキュッパとのコンビでいろんなステージでネタやってました。まこっちゃんはいつも公演中にネタを面白く変えてくるので、まこっちゃんファンは2回見がオススメ。それと芝居が終わった後の挨拶メールが一番最初に来るのがいつもまこっちゃん。さすがです。

スキュッパ 
ほとんどの行事の幹事が彼。いつもすみません。何かあるとスキュッパ頼りです。今回見せ場はなかったのですがラッパーです。芝居もけっこう器用なので普通の役者としてもそこそこいけるんじゃないかな と思ってます。

DOS♂
意外と彼が良かったというお客さんが多くビックリしました。すみません。一生懸命でやりきっているんでいいのかも。茨城出身で地元ではラジオの仕事が多いそうです。テンション高くてうるさいんですが、そういうキャラも必要なんですよね〜ワタシはもっともっと大バカモノになってほしいんですが…

江田めぐみ
レースクイーンやってたせいか、一見チャラチャラしたオネエちゃんに見えますが、実はしっかりしてるし頭もいいんです。字もうまいし、絵も面白く才能あります。しゃべり方や見た目ではわからないもんですよ〜。自分の出演シーンのことはいつも考えている努力家です。今後どこへいくのでしょうか気になります。

あと今回初出演のゴブリン串田さん、松下さらさん、Yodyさん 森下さん 和馬さん ありがとうございました。



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2010年04月04日

猫舌ブギ 役者紹介その1

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くだらなさを楽しむお芝居、夢知無恥ぷれぜんつの「猫舌ブギ」が終わって2週間が経ちました。
早いものです。本番近くになって持病の咳喘息が騒ぎだし、ずっと体調不良だったんですがやっと少し落ち着いてきました。芝居は裏も表も健康でないと乗り切れないです。ホント
夢知無恥はプロデュース公演に近い形なので出演者の皆さんは普段は色んなところで頑張っています。手前味噌ですがメンバーにめぐまれてます。ありがたいこってす。そこで今回の役者紹介を少しずつさせていただきます。

ケベさん
ケベとは言わずと知れたスケベからとってます。創設メンバーです。演出の下等さんが専修大学の演劇サークルに所属していた時、下級生のケベを引っこ抜きました。勘がすごくよくみんなのお手本です。もっと他でも活躍してほしいなぁ。

ちんさん
スズナリ時代からのグループの中心メンバー。
(かつて夢知無恥はスズナリが主な活動拠点でした。)
ちんさんは昔からですが芝居をつくることがすごく好きで大道具の仕込みとかも自前ガチ袋持参で率先してやります。今回の糸こんにゃくリーゼントも楽しそうに作ってました。文句や不平不満を言ったのを聞いたことがありません。尊敬してます。

建みさとさん
稽古場では「おんせん先生」の役名ミカチューと呼ばれています。アイドルだったのに芸能人っぽいイヤなところなんて全くない、すごく前向きでステキな人です。古い言い方ですが、やはり親御さんの育て方が良かったんでしょう。コントでもリアルな内面をキチッとつくる確かな芝居をいつもされます。テレビや映画の仕事もあるのに感謝感謝。

鎌倉太郎さん
無名塾、ブラボーカンパニーと異なったホームグラウンドを2つ持ってます。夢知無恥はブラボーに近いですね。すごく稽古に対して真摯なお方。稽古場一番乗りがほとんどです。ダンボール小道具の名人でもあります。去年の夏から舞台出ずっぱり。今年なんてもう5本目です。無事是名馬ですがどんどん良くなってます。

吉川亜紀子さん
所属のテアトル・エコーでも代表作に数多く出演されている歌も踊りもなんでも達者な女優さんです。そんじょそこらの売れてる小劇場系の女優さんよりずっといいと思うがなぁ。あとはチャンスだけ。誰かチャンスを〜

関口ふでさん
スズナリ時代からの不動のメンバー。強烈なキャラで彼女が出るだけで全部持っていっちゃいます。二児の母です。縫い物上手で布モノ小道具はふでさん担当。スネーク、キンチャク衣装、屋根幕。助かってます。泣き虫なんで初日が来たといってはオイオイ、楽日になったといってはオイオイ。でも感情を素直に出せるって役者にとって大切なこと。ファンもとても多く、関口ふで保存会から毎回お花が届きます。
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2010年03月06日

猫舌ブギますますホットに、ヒェ〜!

ワタクシが制作に関わっている「夢知無恥ぷれぜんつ」の凸凹爆笑どんづまりコメディ&ショー「猫舌ブギ」ですが初日まであと10日、待った無しの状況になってきました。あせらず体調に気をつけていきましょう。
もちろんブギ踊ります。ブギじゃないのも踊って歌います。
ちんさんカッコいいですよ〜。吉川さんもすんごくダイナミック。

お話はネコジタのネズミ小僧をマンモス刑事が追っかけるという、なんだかわけのわからないようですが実に単純で誰でも楽しめ、さらにどーでもいい内容がふんだんに詰まっています。
出演者はもういいよといっても出たがる前回のメンバー+新たなメンバーが加わり、よりパワフルにかつ個性派ぞろいのメンバー。
新聞でチケットプレゼントをやって応募された方の中に、夢知無恥ぷれぜんつをムチムチプレゼンツと書くと殿方が喜びそうですね と書かれた御夫人がいらっしゃいましたが、そう小劇場レベルではなかなかお目にかかれない、殿方のハートがきゅんきゅんする美人もたんまり出ます。

笑いがすきな方もそうでない方もただ恵比寿で買い物したい方も、飲み会前の時間つぶしの方も、外にいると寒いからって方もなんでもいいんです。
そろってこぞってのけぞってお越しください。

2010年3月17日(水)〜21日(日) 
17日(水)19時、18日(木)19時、19日(金)14時・19時、
20日(土)14時・19時。21日(日)12時・16時。
恵比寿・エコー劇場 
料金 3800円(全席指定)好評発売中
出演 ケベ ミスターちん 建みさと 関口ふで 鎌倉太郎 吉川亜紀子 
   春馬ゆかり 他
http://www1.odn.ne.jp/muchimuchi/
チケット予約 090-8054-6849

昨日までは新宿の小学校の廃校を活用している
新宿花伝舎で稽古してました。
ここでは小劇団から大劇団までいろんなサイズのカンパニーが
舞台の成功を願って稽古に励んでいます。みんなガンバレ

門            休憩室
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2010年03月01日

すべては下等から始まった。

5年前の春、お昼ちょっと過ぎのことだった。
突然、下等の奥さんで女優さんのチホコさんから電話があった。
「下等が倒れた」血の気が引いた。「下等が倒れたから…」
「すぐ行きます」そう答えるのがせいいっぱいだった。脳出血で倒れ数年前に亡くなった親父のことがよぎる。頭か心臓か、どちらにしても大変だ。
くも膜下だった。救急車で慶應病院に担ぎ込まれたのだ。くも膜下は後遺症の心配は少ないが命を落とす危険は普通の脳出血の何倍も多い。病院に駆けつけると、チホコさんが一人集中治療室の前に立って待っていた。お医者さんの話だと、非常に危ない状態で手術は8時間くらいはかかり、助かる確率は3割だという。すぐに名古屋の実家に電話をかけ、お母さんに来てもらうことにした。下等とは名古屋の高校時代からの付き合いの一番古い友人で、一緒に演劇なんかをやった仲間だ。いま何をしなくちゃいけないのか何が出来るのか整理がつかない。こういう頭の病気は突然訪れ、患者とは話ができないのでこちらで判断するほかない。本人が何をしたいのか誰に連絡とったらいいのかを推測する。とりあえず下等の会社関係、友人、芝居仲間などわかる範囲で連絡した。
午後になって手術が始まった。手術中待合室で待っていられるの人間は、限られた近親者だけということで、チホコさん、ワタシ、それと心配して来ていただいたチホコさんの所属する事務所の方、親しい脚本家のホタルさんが、無事を信じ待つことになった。何時間か経つと、昼間騒がしかった病院は外来患者がいなくなり次第に静かになった。夜になると病院は一段と寂しくなり、病院の持つ独特の空気が充満する。清潔さと病の空気だ。そのうちに待合室の明かりだけを残して暗くなり、審判を待つ数組の家族が静かに待つだけになった。咳ばらいの音もははかられる重い空気がのしかかってくる。夜の9時ころだったか名古屋からのお母さんが到着した。一応の経過は説明したがなにぶん情報もないのでただ手術の終わりを待つほかない。さらに何時間か過ぎて真夜中になった。あんまり長く待っていると妙なもので気持ち的にも余裕が出来、小声で話し合うようになる。小声というのは 我々より早く手術が終わった家族の中に、深刻な悲しい知らせを受ける人達がいるからだ。ゆとりや余裕がなんとなく生まれたからといって軽はずみな事は言えない。
お母さんと下等の昔話が話題になった。高校時代のこと、東京から名古屋まで歩いたこと 懐かしい話が続いたあと、ふいにお母さんが触れてはいけない話を切り出した。
「イチカワちゃん、ホラ何て言ったっけ、ひろきとホラ演劇やってたじゃない。え〜何だったヘンな名前の」「…」首をかしげるしかない。チホコさんもホタルさんもうつむいて黙っている。周りにいるハンカチ握りしめて悲しみをジッと堪えている人達の前で言えるわけがない。「ホラホラ…だめねぇ年とっちゃって…イチカワちゃんあんなに長く一緒にやってたじゃない」「チホコさん何て名前だったっけ」チホコさんが口元ピクピクしながらオレの方を見る。耐えるしかない。やっと波が治まって静寂が訪れた時にお母さんが晴れやかな顔でこちらを向いた。まさしくアハ体験だ。
「ムチムチよぉ、ムチムチ、なんて変な名前つけたんだろう」
「あ〜ムチムチ、ムチムチ、イチカワちゃん忘れちゃったの」
(あっちゃー忘れてはいませんよ。お母さん声を落として落として)
チホコさんもホタルさんも笑いを堪えるのに必死だ。
ムチムチそう夢知無恥と書いてムチムチ。もっともこの場にふさわしくない名前、そうムチムチだったのだ。
下等は結局予定を越えた11時間もの手術が成功し、しばらく入院してケロッと治り、養生もせず、どうせ死ぬんだから好きなことをするといって15年も休んでいた夢知無恥の劇団活動を再開した。待合室のムチムチ連呼が脳に届いてしまったのだろうか?
かく言うオレもまたずるずる手伝っている。慶應病院の担当看護婦さんもちゃっかりお客さんとして呼んでいるんだが、看護婦さんの方もけっこう楽しんでいるようで今回の「猫舌ブギ」もお友達といらっしゃるとか…なんだかなぁ。

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2009年11月15日

話しかけられるお芝居(ちょっぴりネタバレ)

お芝居を先週二本続け見ました。赤坂レッドシアターで上演された「七本の色鉛筆」とテアトル・エコーの「お手を拝借!」です。この二本、ちょっとした共通点がありました。
どちらも出演者が観客に話しかけるところがあるんです。まず「七本〜」は、ワイルダーの「わが町」スタイルといいますか、狂言回し的な語り手(江間直子さん)が物語を説明しながら進行していきます。物語を通してお客さんに語りかけますが、この場合観客は話しかけられても、語り手もお芝居の一部なんだと理解して観てるので反応することはありません。これに対して「お手〜」は、熊倉一雄さんが最初と最後に出てきて普通に制作さんが話すようにお客さんに話しかけます。この場合観客は自分に向かって話しているんだということがはっきりわかります。観客参加型です。熊倉さん、最初なんか「携帯電話なんかジャンジャン鳴らして下さい」って言ってました。ワタシが観た回は鳴りませんでしたが、これはたまげました、笑いました。熊倉さんは最初と最後以外の真ん中部分は役で演じているので観客に語りかけることはありません。
どちらも話しかけられるお芝居で受け取りかたが違っているのに、お客さんがみんな理解して観ているのを考えると面白かったです。

さて肝心の中身ですが、「七本〜」は七人姉妹とお父さんの家族のお話、36年も前にかかれた矢代静一氏の脚本です。この36年で倫理感がずいぶん変わったと思うんですが面白かったです。お父さん役の小林隆さん、次女の江間さん、六女の黒木マリナさんが特に良かったです。演出も良かったのですが1点だけ気になりました。靴です。この問題はいつもあるんですが、部屋で靴を履くのはいいとしてもソファに靴履いたまま乗る芝居はちょっとひっかかります。この家族にとって大事なお客さまがくるのがわかってたら尚更ですね。この芝居じゃないんですがテーブルに腰かける芝居も嫌なんです。だってそんな人見たことないから。そこ惜しかった。ちなみに小林さんはエコー養成所出身、江間さんは無名塾、四女役の佐藤さんは安楽兵舎に出演される方ですし、音響の角張さんは子供シェイでお世話になってます。狭い世界ちゃあ狭いっす。
「お手〜」はものすごいバタバタで作ったのを聞いてて心配したのですが、ちゃんとしてました。そして観客参加型の新しい試み、客席が明るくパンフが読めます。さすがラサールさん、ただで本は遅くならないなって感服いたしました。演劇に少しでも関わったことのある方は文句なしに楽しめます。ワタシもその一人。全く知らない人が観たらどうなんだろうか、そこは正直わかりません。全体としてテアトル・エコーという劇団が持つ温かさを感じました。やさしい気持ちでリラックスして観たら楽しいお芝居です。25日まで
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2009年11月05日

日本人が外国人を演じることについて

先日「奇跡の人」を見ました。主演の二人の芝居も悪くないのにドーモしっくりこない。サリバン先生が生きた時代の匂いが全く感じられないんです。飾り気のあまりない簡略化した装置のせいもあるんでしょうが、役者の台詞のいい回しも現代人が喋っているようにしか聞こえなかったです。兄が特にダメだったんですが、最近観たこの俳優さんの別の芝居は悪くなかったので演出なのかもしれないです。一緒に見に行った友人との共通意見なんですが、この舞台を新劇の文学座でもう一度見たくなりました。話が感動するのは観る前からわかっているので普通の芝居でいい気がするんです。YOUTUBEで映画のラストを確認したら、設定、台詞、動きまで舞台とほとんど同じでしたが、いいです。感動しました。

http://www.youtube.com/watch?v=i-Ey0RUICT4&feature=related

日本人が外人を演じるということは難しいものです。世界中の人がわかりあえるテーマなら、どんな外見や所作でも伝わるはずなのですが、やはり観る側が補う手助けがあるとより伝わりやすくなる気がします。もちろんやり過ぎはいけません。昔の新劇は洋モノ舞台を上演する時にはつけ鼻したようですがこれはやり過ぎでしょう。では髪の毛を金髪や茶髪に染めるのはどうでしょう。いまも無名塾なんかでは髪の毛を染めます。あんまり形で外人に見せるというのが好きではないのですが、すこしその世界に入りやすくなるのは事実なんです。仲代さんやテアトル・エコーの安原さんなんかはなんにもしなくても外人に見えるんですけどね。「奇跡の人」限界はあるのはわかってますがもう少し芝居全体ででも時代や設定の匂いを出して欲しかったです。ストレートな舞台の場合、できれば俳優は現代日本人からその時代の外人に少しでも近づいてほしいし、補って観られるような装置、音楽、衣装、ヘアメイク、演出なんかがワタシは欲しいです。とっても難しい問題ですけどね。
サリバン先生が実際に二十二歳だったというのは今回すごくうまく出ていると思うんです。
この問題、舞台は補って観られるんでまだいいです。
映画だとやりほうだいの部分もあります。欧米人は顔が同じなので、国境がありません。オードリー・ヘップバーンの戦争と平和とかだってロシアの話が全て英語。よ〜く考えればへんですよね。
昔の映画で「北京の55日」という映画あるんですがこれが最たるモノでして欧米人の兵隊さんを中国人が頭金髪にして奮闘してます。
映像でアジアと欧米はきつい。全員英語だし…
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2009年10月29日

みなさま〜!お手を拝借〜!

11月12日からテアトル・エコー公演「お手を拝借!」が始まりますが、この劇団テアトル・エコーについて一言。いや二言三言。テアトル・エコーは2006年に50周年を迎えたので今年で53年になります。老舗です。そして熊倉一雄さんを始め初期のメンバーがまだまだ現役で頑張っていらっしゃいます。年2、3回やっている本公演はコメディオンリー、つまり喜劇を上演する劇団なんです。もちろん笑いの解釈は色々なのでコントやお笑いのように大笑いを期待しちゃいけませんが、WE LOVE COMEDYがスローガンの劇団です。なので今回の「お手を拝借!」も暗い、重いモノではなくって楽しい〜…たぶん…興味のある方はぜひ!お芝居のバックグラウンドもののようですよ。

ポスター
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テアトル・エコーの俳優さんは普段は声優さんで活躍されている方が多いんです。今回の出演者でいうと、まず熊倉さんはなんといってもヒッチコックの声。一度聞いたら忘れられない声です。ワタシが好きなのは「宇宙家族ロビンソン」のドクタースミス、あのいじわるでドジな悪者たまりませんわ。それから太田淑子さん、この人がスゴイ。「ジャングル大帝」のレオ、「リボンの騎士」のサファイア、「ひみつのアッコちゃんの」アッコですよ。シーイズど真ん中。あと海外テレビドラマファンなら大喜びの声優さんもいらっしゃいます。「ER」のケリー・ウィーバー役の小宮和枝さん、「デスパレートの妻たち」のイーディー役安達忍さん。彼女達に以前シーズンが終わった時、次が気になってちょっくら聞いて失敗したことがありました。そういうことは聞くもんじゃないです。
「マークがねぇ〜あっこれ以上は言えない〜大変大変」とかちょこっとささやきくれるもんだから余計気になちゃって…。でも忍さん!「デスパレート、いきなり5年後って何なの〜!」あ〜気になる気になる。
今回出られない方でもスゴイ方いらっしゃいます。その筆頭が納谷悟朗さん。銭形ですよ銭形。前に写真撮影した時、カメラマンのアシスタントがルパンファンで大喜びでした。普段もほぼ銭形の声ですからねぇ。あの声で「あ〜んカメラ目線でいいのかルッパ〜ン」なんて言われたら…ルッパ〜ンはさすがに言いやしませんがね。
納谷さんは演技だけじゃなくとってもセンスのある方でテアトル・エコーのロゴも納谷さんデザインなんです。

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ワタシもマネてエコーのスタジオ部門のスタジオ・エコーのロゴ作りましたが敵わないですね。ちなみにエコー劇場に掛かっている旗のロゴはワタシです。お近くを通ったら見てください。先日の三茶de大道芸のロゴも作りましたが、街中に掛かっているのを見ると嬉しくなります。もし自分がいなくなっても残るのかと考えると感慨深いです。ただそんな残るものに文字の間違い見つけちゃうと地獄ですわ。
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2009年10月01日

スゴかった俳優座養成所

ちょっと前のことですが、恵比寿駅の西口を交番の方に出て、駒沢通りの横断道路を渡った所に古本屋がありました。なんとな〜く取っ付きにくい古本屋でした。いつも窓に筆で書いた標語みたいなのが2階3階に渡ってダラリ〜ンとかかっていて、退店される時も、ここを去るけど魂は死なず、みたいな文字が書かれていたと記憶しています。いまもどこかでやられているんでしょうか、ダラリ〜ンは続けていらっしゃるのでしょうか、頑張っていただきたいです。その古本屋の店先のワゴンセールで買ったのがコレ。信号待ちしててつい目に止まりました。

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面白いです。俳優座養成所の歴史がつまっています。養成所は1949年〜1967年までの18年間しかありませんでした。もう42年も前に姿を消しています。ただ今活躍する60歳以上の俳優のほとんどが俳優座養成所出身者といっても過言ではないでしょう。
例えば15期なんて凄いです。林隆三さん、原田芳雄さん、前田吟さん、夏八木勲さん、地井武男さん、村井国夫さん、秋野太作さん、浜畑賢吉さん、小野武彦さん、高橋長英さん、栗原小巻さん、赤座美代子さん、三田和代さん、 ひとつの期だけでそうそうたるメンバーです。劇作家の齋藤憐さんもこの期です。
ほかの期も書ききれないくらいの凄いメンバーでして、仲代さんは4期で宇津井健さんや佐藤慶さんなんかと一緒。3期には愛川欽也さん、渡辺美佐子さん、平さんは5期、市原悦子さんは6期、田中邦衛さんは井川比佐志さんなんかと一緒で7期です。
田中邦衛さんは三度目の挑戦でやっと受かったんです。二度目の受験で落ちた後、故郷に帰って小学校の代用教員をやってたんですが、あきらめきれず教員を辞めて執念の合格。教官に「三度受けたのも才能だ」と言われたそうです。面白いですね。
こんな養成所の裏話がたんまり入っていて、熱かった新劇の歴史を知ることができる貴重な一冊。信号待ち用のワゴンよありがとう!
今やっている『安楽兵舎』も5期メンバーですし、2月にやった『ワーニャ伯父さん』にも3期の楠木さんが出られていましたし、演劇の仕事していると必ずといっていいほど俳優座養成所出身の方に会います。
それから俳優座の建物は昔は六本木のランドマークだったんです。
「東京タワーの方じゃなくって、俳優座の方ねぇ」なんていって待ち合わせもしたんですが、今はヒルズとミッドタウンがあるからなぁ。
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